翼をください
ハート形の花火や星形の花火、色んな種類の花火が上がった。
花火を見ている時も繋いでる手は離れることはなかった。
―ピューーーーーードンッ!!!
最後の大輪、簾の花火が上がった時、
「柚」
今まで黙って見上げていた翼が、私の名前を呼んだ。
「ん?」
そう言って、翼の方を向いた時、
「――――……っ」
翼と私の唇が、静かに重なった。
目を綴じて、幸せに浸っていた。
けど、目を開けた私の瞳に映ったのは、今にも泣きそうな表情をした翼だった――…