翼をください
最後の詰めの練習も終わって、翼と一緒に手を繋いで帰っていた。
「……ゴホッ…」
数日前から翼は風をひいたのか、咳をよくしている。
日に日に酷くなっていっているような……
「翼、大丈夫?」
心配で翼の顔を見上げると、
「大丈夫だよ。伴奏で良かったかも」
と、微笑んで言ってくれた。
その笑顔にホッと安心をする。
「明日、ちゃんと病院行ってね?」
喉の痛みは抗生剤を飲まなきゃなかなか治らないし。
「分かってるって」
「良かった。明日、頑張ろうね」
そう言って繋いでいる手を、ギュッと握った。