翼をください




夜になると、




「柚ー、これ翼君のところに持っていってくれないかしら」




と、お母さんに渡された一冊の本。




表紙には、広く澄みきった青空に飛行機雲が一筋走っていた。




私は上着を羽織って、いってきます、と玄関を開けた。




外は上着を羽織っていても少し肌寒くて、けど、宝石のように光る星を見ていると、寒さなんて忘れてしまって、すぐに翼の家についた。




もとから近距離にある翼の家。




インターホンを押すと、翼のお母さんが出てきた。




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