翼をください
それから少しドアの前で座って顔を押さえていると、
「柚、ごめんな?入っていいよ」
と、翼が出てきた。
私はまだ少し赤い顔でコクンと頷いて、部屋に入った。
翼の部屋はやはり綺麗に片付いていた。
本棚に並んである、たくさんの本を見て、今何をするためにここに来たのかを思い出した。
「翼、この本お母さんから預かってきたよ」
そう言って渡すと、
「ありがとう。この本、俺すごく好きなんだ」
と、優しい表情(カオ)をしていた。
一体どんな本なんだろう。