翼をください
“もしも、ボクに翼があるのなら
キミが笑っている時、
キミが悲しんでいる時、
いつでもボクは飛んでいくだろう
キミに会いに”
「何かの本に、人間は片翼で生まれてくるって書いてあったんだ。1人では飛んでいけないけど、誰かとなら羽ばたいていけるって」
翼はそう言いながら本を閉じた。
それから本を横に置いて、後ろから私を抱き締めた。
ドキッと心臓が跳ねる音がした。
「けど、俺は1人でも羽ばたける人は羽ばたけるんじゃないかって思うんだ」
「うん……」
ドキドキしている私は、うん、としか言えない。