翼をください
「…………ん…」
翌朝目覚めると、目の前に、大好きな人がいた。
私はそのまま、翼のことを見つめていた。
ファンクラブがあるだけに格好良い……
「…………?」
よく見ていると、翼の頬に、涙の後のようなものがあった。
私はゆっくり、その跡をなぞってみた。
少し冷たい……
「……ゆず?」
なぞっていると、翼が起きた。
「あ、ごめん。起こしちゃったね」
そう言うと、抱き寄せられて、
「そんなことないよ。なんか幸せ」
と、微笑んだ。
「ねぇ、翼。何か悩み事でもある……?」
今まで勇気がなくて聞けなかったこと。
私は翼の瞳をそらさずに見た。