翼をください
「柚……ごめん。俺、知ってたんだ」
と、怜がしゃべりだした。
「あの日の昼にさ、聞いたんだ……病気だって。こっちに戻ってきたのも療養だって……」
怜の瞳にも、涙が溜まっていた。
「治るんだろ?って聞いたら、手術しても50%の確率もないって……っ、もし、失敗したら……って」
何も知らなかった。
だって、そんなの……
「柚と付き合ったまま、もし助からなかったら柚が辛い思いするから……っ、だから嫌われようって……」
怜の瞳から、涙が溢れた。