翼をください
「俺、酷い夕立好きなんだ。」
…………え?
酷い夕立が好き?
こんな不安になるような雨が降るのに?
「酷い夕立の後には、必ず虹がでるんだ。」
私は翼の顔を見た。
「人生もきっと同じでさ、どんなに辛いことがあっても、乗り越えたら幸せが待ってるんだって。」
私はもう一度空を見た。
さっきより…
不安がなくなった気がした。
「早く虹見たいね。」
「そうだな。」
少し肌寒く感じる雨。
湿った空気。
少し痛む足。
そんなのが全く気にならないくらい、心が晴れて温かかった。