翼をください
少し静かなところでやりたかった私たちは、少し離れたところへ移動した。
ここから唯と怜は見えないけど、海と星は綺麗に見える。
岩に座って、線香花火に火をつけた。
小さなその光は、だんだん大きくなって、サイダーのように弾けた。
「綺麗だね」
「ね。唯たち、本当にもったいないよね」
こんなにも綺麗なのに。
そう言って上を向いたら、たくさん星が輝いていた。
「星も本当に綺麗だよね」
翼が来てから、よく星を見るようになった。
嫌いだった雨も好きになった。
隣をちらっと見ると、翼も星空を見上げていた。