翼をください
けど、どこまでも優しい翼は、私の頭に手をポンッと置いた。
涙が溢れそうになった。
優しさが、懐かしくて……
お父さんのような温もりに、お母さんのような温もり。
けど、違うのは、感じるのは温もりだけじゃなくて、ドキドキすること。
胸が熱くなって、溢れ出しそうな、私の知らない初めての、未知の気持ち。
それから暫くして、翼は私に火をつけた線香花火を渡してくれた。
いつもの、優しい声。
ゆっくり翼を見上げると、優しく微笑んでくれた。
「……すき……」
花火の光と共に、無意識に溢れ出した言葉に、はっとした。