翼をください
一時間というのは長いのか短いのか、あっという間に目的地に到着した。
駅に行く前に旅館に荷物を預けに行った。
「わー!すごい!!素敵だね!」
昔からの伝統があるような、そんな旅館だった。
「この旅館、有名なんだよ」
と言う怜に、
「そうなんだぁ~」
と、言うと、
「出るって有名なんだよ」
と、悪戯っ子のような笑顔で私を見た。
「な……っ!」
怖いのが苦手な私。
知ってるはずなのに!と軽く怜を睨むと、
「冗談だって!」
と、ケラケラ笑だした。
むっ
「翼、唯!怜なんて放っておいて行こう!」
と、右手に翼、左手に唯の手を握って歩き出した。
「は!?ちょっと待てよー!」