翼をください




一時間というのは長いのか短いのか、あっという間に目的地に到着した。




駅に行く前に旅館に荷物を預けに行った。




「わー!すごい!!素敵だね!」




昔からの伝統があるような、そんな旅館だった。




「この旅館、有名なんだよ」




と言う怜に、




「そうなんだぁ~」




と、言うと、




「出るって有名なんだよ」




と、悪戯っ子のような笑顔で私を見た。




「な……っ!」




怖いのが苦手な私。




知ってるはずなのに!と軽く怜を睨むと、





「冗談だって!」




と、ケラケラ笑だした。




むっ




「翼、唯!怜なんて放っておいて行こう!」




と、右手に翼、左手に唯の手を握って歩き出した。




「は!?ちょっと待てよー!」




< 87 / 200 >

この作品をシェア

pagetop