いつかの、誰かさん

「遅れてごめんなさい…」

ガラッと音を立てながら開いたドアの向こうには、ついこの間ここに越してきた絵菜の、知らない顔がズラリと並んでこちらをじっと見ていた。

「あれ…?もしかして、先生まだ来てない…???」
「君、最近こっち越してきた子?」

突然、目の前に座っていた男の子に話しかけられ、絵菜はびっくりした。

「う、うん…。」
「そかそか!いやあ、よく君みたいな可愛い子がこんな田舎に越してきたよな(笑)」
「「「こら!いっちゃん、いきなり女の子さ口説くな~!!!」」」
「うるせえ!口説いてなんかねえべよ!!!」

クラスの女の子全員に責められている…。
とりあえず、話しかけてくれたんだ、せっかくだから仲良くなりたいな〜。
皆には“いっちゃん”って呼ばれてるらしいし、なんか親しみやすそう!

「あの、私の席どこだか分かる???」
「あ〜ええと…内藤さん、だべ?だったら真ん中の列の後ろらへんじゃねえかな。」
「ありがとう!」

いっちゃんっていう男の子に自分の席を教えてもらい、静かに座った。

「ねえねえ!都会から来たんでしょ?!?!」
「えっ?!」
「あっ、ごめんごめん、自己紹介遅れたね!私、やえ!皆にやっちゃんって呼ばれてるから、そう呼んで!」

よろしく!って言って、笑顔で握手を求めるその子は、とても明るい印象の女の子。
よろしく!って言い返して握手すると、今まで座っていたクラスの子が次々と私の席の周りに集まった。


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