いつかの、誰かさん
クラスの人たちからの質問攻めは、担任が教室に入ってくるまで続いた。
「おら〜お前らなに騒いでん…って、おい〜早速いじめてんじゃねぇぞ〜」
「先生、いじめてるんじゃなくて親交を深めてるんです〜」
「お〜、それならいっか…ま、とりあえず皆自分の席に着け〜」
白衣を着た二十代後半くらいに見える教師が教壇に立ち、入学式の説明を始める。
絵菜は多少緊張していたものの、クラスの人たちと仲良くなれそうで安心していた。
「────と、言うわけで体育館に移動するぞ〜出席番号順に並んどけ〜」
いつの間にか説明は終わっていたらしく、絵菜たちは廊下に並ばされ、体育館に移動した。
「ねえねえ、絵菜ちゃんって呼んでいい?」
急に、先ほどの“やっちゃん”こと、やえが話しかけてきた。
「うん!私はやっちゃんって呼べばいいんだよね?」
「ん〜皆がそう呼んでるだけだから、好きな呼び方でいいよ(笑)」
「他に良い呼び方思いつかないからやっちゃんって呼ぶね!(笑)」
「おっけ〜!よろしく絵菜ちゃん!」
体育館に移動した後は、やはりお決まりであろう長ーい教頭先生の話があり、生徒たちは皆、睡魔と戦うのに精いっぱいであった。