いつかの、誰かさん

頼まれていた物を買って、家に帰ると、絵菜のお母さんはすでにご飯を作り終えていた。

「ただいまぁ〜!」
「おかえり〜絵菜、今日学校どうだった?」
「友達出来たよ!けっこう皆フレンドリーで、クラスの人たちとたくさんお話出来た!」
「そう、それは良かったわ〜」

にこにこするのが似合う、優しそうなお母さんである。
絵菜の家は、ごく普通の家庭で、お母さんは昼間パートに出たり、家事をしたりして過ごし、絵菜のお父さんは会社勤めをしているサラリーマンだ。

「お父さん帰ってくる前に夜ご飯食べちゃおっか!」
「うん!そうする〜!」

絵菜はひとりっこなので、一人部屋持ちである。
ベッドに、本棚、勉強机と、ちょっとした趣味コーナー...至ってふつうのJKの部屋なのだが、絵菜は片付けが大の苦手であった。

「やばっ、また散らかってる...」

普段は温厚な絵菜のお母さんが鬼になる前に、そそくさと自室の片付けをするのが、帰ってきてからの日課になっている。

「絵菜~ご飯冷めちゃうよ~」
「は~い今行く~」


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