誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―


裕福な家柄の藤堂自身は実家からの仕送りもあるらしく、さほど不自由していない。


しかし新撰組全体として見れば、結成当初から、武具類の一切を借り物で間に合わせたり、恐喝に等しい迫力で商家から金を借りたりと、


貧しく粗野なごろつき集団とみなされても仕方ないほど、金には困っていた。


会津藩からの給金があるとはいえ、養うべき人数に比して、いささか足りていない。



近藤が言うところの洛陽動乱を一件落着させたことで、新撰組の株は上がるだろうか。


いや、この程度で評価を覆すのは難しいだろうか。


いかんせん、京都での新撰組の評判は、決してよろしくない。


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