誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―


「おまえさんは明日、試衛館に顔を出せ。連中にとって具合のいい出世話を持って行ってやるんだ。


いいか。幕府はもうじき、浪士組に加わる人手を募る。浪士組ってのは、京都の治安維持を助けるための組織だ。清河八郎の献策でな。


浪士組に加われるのは、剣を使えるやつなら武家だろうが商家だろうが農家だろうが構わねえ。腕っ節の強いやつを集めて、京都に送ることになる。


試衛館の連中もそこに加わるよう、おまえさんが話をして来い」



浪士組、京都、腕っ節の強いやつ。


家柄に構わず、幕府の下す任に就ける。


勝が早口でまくし立てる話の意味を、斎藤はうなずきながら呑み込んだ。


勝は、斎藤の胸のあたりを指差して、話を続けた。


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