本当の遠距離恋愛 1
 それから愛美は1月1万円ずつ返してきたが、
  計算上、完全返済は3年ぐらいかかることになる。

 紗希は少しずつ愛美と距離をおいた。
 
 また、「貸して!」と言われるのもイヤだった。

 愛美も紗希に負い目があるせいか、距離をおくように
  なった。

 

 真夏。

 
 毎日セミの鳴き声で余計に暑さを再確認する。

 愛美は病棟ナースから外来ナースへと移っていった。

 しかし、心配していた返済だが、
  給料日には必ず1万円を持ってくる。

 「ありがとう、ごめんね」

 「うん」

 愛美は髪を明るい色に染めていた。

 フランス人形のような顔にはよく似合う。

 看護師でも茶色に染めている人は多いが、 
  愛美は少し明るすぎる。

 似合うが看護師としては・・・。

 「愛美、髪染めたんだ」

 「うん」

 
 二言三言話しただけで愛美は外来のある1階へ降りていった。


 外来ナースは朝から夕方までの勤務。夜勤は当然ない。
 給料は倍近く下がるが、体は楽だし、愛美は
 夜勤をすると福岡へ行けないのでちょうどよかった。

 
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