本当の遠距離恋愛 1

 「ねえ、愛美ちゃん、ちょっといい?」

 ママが帰宅する愛美を呼び止めた。
 
 クラブやスナックなどは源氏名を使う子が多いが、
  愛美は愛美として働いている。

 「ええ、ママ」

 「座って」

 カウンターのイスに並んで腰掛ける。

 「愛美ちゃん、どう?」

 「とっても楽しいです!まだ慣れなくて大変ですけど」

 「そう、でもこれからよ!頑張ってね!」

 「はい!」

 「愛美ちゃん、愛美ちゃんのお友達で誰かいい子いない?」

 「えっ!」

 「女の子をもっと増やしたいんだけどいい子がいなくて・・」

 「でも面接希望の電話、毎日あるじゃないですか」

 「ええ、でもなかなかね・・・今の子途中ですぐに
  辞めちゃう子多いのよ」

 「そうですか・・・」

 「ほら、銀座のクラブともなると給料はいいけど、
  その分自己投資も必要になってくるの。
  衣装や、髪のセット、それにお客様のレベルも高いから、
  話が合わないって・・・」

 「そうですね・・」

 「少しぐらいお給料が安くてもカラオケがあったほうが
  いいみたい」

 「話に詰まったらカラオケに逃げれますもんね」

 
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