クールな准教授の焦れ恋講義
「巴裕章です。今年度から着任になったので、まだまだ分からないことだらけですが、どうぞよろしく。専門は宗教民俗学。あまり難しく思わず興味があれば気軽に研究室に来てください」
一際若くスーツ姿の彼はとても目立っていた。ついつい視線を送っていると不意に目が合ってしまった。そして驚いている私にしたり顔で彼は微笑んだのだった。
大学院を出たばかりということで年齢は二十八歳。すぐに彼は新入生、ひいては在学生の注目を一気に集めることになった。
「先生何歳?」
「彼女いるの?」
新入生オリエンテーションで告げたのもあって、先生の研究室は連日多くの学生が足を運んでいた。訪れるのは圧倒的に女子が多く、一年目ということで講義の持ち数も少なかった先生は入れ替わる学生たちの相手を真面目にしていた。
私はというと、気になってはいたのだが賑っている研究室のドアを叩く勇気がなく、友人と一緒に行くのも気が引けて結局オリエンテーションの日以来、先生と会話することはなかった。
そんなある日、研究棟の廊下で肩を叩かれて後ろを振り返ると、先生が息を切らして立っていた。その姿はスーツではなく私服で初めて会ったときよりも若く見えた。
大学生といってもまず疑われないだろう。ミディアムショートの髪型は軽くワックスでボリュームをもたせて、流している前髪が揺れていた。
「巴、先生」
「やっぱり、あのときの。声をかけようと思ったけど名前が分からなかったから。ここにいるってことは総合社会学科?」
「はい。一回生の早川奈津といいます」
「早川さんね、よし覚えた」
会えたら色々話してみたいと思っていたけど、まさかこうして一対一で会って名前まで言えるとは思っていなかったので私は完全に舞い上がってしまった。
一際若くスーツ姿の彼はとても目立っていた。ついつい視線を送っていると不意に目が合ってしまった。そして驚いている私にしたり顔で彼は微笑んだのだった。
大学院を出たばかりということで年齢は二十八歳。すぐに彼は新入生、ひいては在学生の注目を一気に集めることになった。
「先生何歳?」
「彼女いるの?」
新入生オリエンテーションで告げたのもあって、先生の研究室は連日多くの学生が足を運んでいた。訪れるのは圧倒的に女子が多く、一年目ということで講義の持ち数も少なかった先生は入れ替わる学生たちの相手を真面目にしていた。
私はというと、気になってはいたのだが賑っている研究室のドアを叩く勇気がなく、友人と一緒に行くのも気が引けて結局オリエンテーションの日以来、先生と会話することはなかった。
そんなある日、研究棟の廊下で肩を叩かれて後ろを振り返ると、先生が息を切らして立っていた。その姿はスーツではなく私服で初めて会ったときよりも若く見えた。
大学生といってもまず疑われないだろう。ミディアムショートの髪型は軽くワックスでボリュームをもたせて、流している前髪が揺れていた。
「巴、先生」
「やっぱり、あのときの。声をかけようと思ったけど名前が分からなかったから。ここにいるってことは総合社会学科?」
「はい。一回生の早川奈津といいます」
「早川さんね、よし覚えた」
会えたら色々話してみたいと思っていたけど、まさかこうして一対一で会って名前まで言えるとは思っていなかったので私は完全に舞い上がってしまった。