クールな准教授の焦れ恋講義
「先生のことが好きです。大学に入学したときからずっと。私、気持ちが変わらなかったらって言いましたけど、でも卒業式に告白したときよりも今のほうが先生のことがずっと好きです。これからも先生のこと好きでいさせてください」

 恥ずかしさもあってやや早口で私は一気に言いきった。すると先生は優しく微笑み私の頭をそっと撫でてくれた。緊張しながらもそれを受け入れて私は付け足す。

「返事、もらえませんか?」

「そうだな、学生の頃は真面目でゼミでも一番成績優秀で。卒業してからは仕事熱心でこちらの仕事もきめ細かくサポートしてくれる。何より俺のことをよく理解してくれていて、それが好きな女だったらもう手放せないな」

 そこまで言うと先生は躊躇いがちに私を抱きしめてくれた。煙草の香りと共に伝わってくる体温に私は硬直する。嬉しいような恥ずかしいような信じられないような。色々な気持ちが混ざって頭が沸騰しそうだった。

「にしても好きでいてくれるのは結構だが、それだけじゃなくてお前はちゃんと俺とする気があるのか?」

「するって何を?」

 顔は見えないけど、どこか呆れたような言い方の先生に私は訊き返した。吐息が耳にかかって心臓の鼓動が速くなる。

 腕の力が緩んだかと思えば先生の顔が近づいてきて寸のところで止まった。眼鏡のレンズ越しに真っ直ぐな瞳とぶつかる。

「恋愛」

 その言葉が、声が、瞳が、刻み込まれて強く焼きつく。先生と恋愛――
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