御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
運命のようにあなたに出会う
「……理咲(りさ)?」
不意に耳元で聞こえた低い声に、ぼんやりしていた意識が急激に現実に戻る。
顔を上げると、バンケットルームの豪奢なシャンデリアの明かりの下で、康弘(やすひろ)さんが心配そうな視線をこちらに向けている。
濡れたように黒い髪と瞳。
その際立って端正な顔に、私はあわてて取り繕うような笑顔を浮かべる。
「ごめんなさい。あの……何のお話でした?」
「いや、大した話じゃないから構わない。でもどうしたの?疲れた?」
円卓の右隣に座った康弘さんの、切れ長の瞳が私をじっと見つめる。
「少し緊張して……。ごめんなさい」
「さすがに四時間はキツイよな。あと少しで終わる。……ほら見て、三度目のお色直しのご登場だ」
耳元で悪戯っぽくさやいたあと、康弘さんは宴会場の扉に視線を向ける。
ここは都内の一流ホテル。正装した黒で隙間なく埋め尽くされた会場の入り口にスポットライトが当たり、仲良く並んだ新郎新婦に周囲から拍手が沸く。
ワンショルダーの真っ赤なカラードレス。
新婦のイメージ通りのバラの花のような艶やかなデザインは、彼女の為にオーダーされたものだと一目で分かる。
不意に耳元で聞こえた低い声に、ぼんやりしていた意識が急激に現実に戻る。
顔を上げると、バンケットルームの豪奢なシャンデリアの明かりの下で、康弘(やすひろ)さんが心配そうな視線をこちらに向けている。
濡れたように黒い髪と瞳。
その際立って端正な顔に、私はあわてて取り繕うような笑顔を浮かべる。
「ごめんなさい。あの……何のお話でした?」
「いや、大した話じゃないから構わない。でもどうしたの?疲れた?」
円卓の右隣に座った康弘さんの、切れ長の瞳が私をじっと見つめる。
「少し緊張して……。ごめんなさい」
「さすがに四時間はキツイよな。あと少しで終わる。……ほら見て、三度目のお色直しのご登場だ」
耳元で悪戯っぽくさやいたあと、康弘さんは宴会場の扉に視線を向ける。
ここは都内の一流ホテル。正装した黒で隙間なく埋め尽くされた会場の入り口にスポットライトが当たり、仲良く並んだ新郎新婦に周囲から拍手が沸く。
ワンショルダーの真っ赤なカラードレス。
新婦のイメージ通りのバラの花のような艶やかなデザインは、彼女の為にオーダーされたものだと一目で分かる。
< 1 / 242 >