御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
豪華な殻つきのエビチリが部屋に運ばれてきて、私が手を汚しながらそれを味わっていると、怜人さまはおもむろに陸の方を向いて話を始めた。
怜人さまは、父の会社の再建を考えている、と言った。
父の研究者としての資質と誠実な姿勢を高く評価しているし、例の研究に関しては父の功績が大きい。だから、会社を再建してまた研究を再開してほしい。
そのための資金援助を含むサポートを、自分がしたいと思っている。
そう告げたあと、怜人さまは陸にさらに強く視線をむけた。
そして「会社が再建したら、今度は君がお父さんの片腕にならなくてはいけない。そのために、君はどんな準備をするべきだと思う?」と尋ねた。
ついさっき「大学を止めて働きます」と言った陸。それでも、具体的に会社を再び立ち上げてからのプランを怜人さまから聞き、本人の意見も変わったらしい。
しばらく真剣に考えた後、「やはり大学院に進んで、最先端の技術を習得してから、父の会社に入るべきだと思います」と怜人さまに答えた。
その答えに満足そうにうなづくと、「適切な判断だ」と目を細めた怜人さまは、続けてこういったのだ。
「これから君のスポンサーには僕がなろう。大学の学費から生活費まで。その代わり条件がある。
ひとつは、大学院は国内最高レベルの国立大学に入ること。それから君が社長になった場合、僕と独占的に契約するということ。このふたつは、必ず実行してもらいたい」