御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
目を見て素直にうなづくと、「いい子だ」と目を細めた怜人さまが、触れるだけの優しい口づけをくれる。
「それともうひとつお願いがあります。……いいですか?」
私の隣に横たわり、腕枕で抱き寄せながら怜人さまが少し不機嫌な様子で言った。
「これから先、僕以外の誰にもあなたに触れさせないで欲しい。それにあなたも、他の男性に触れることを避けてください。それが例え陸くんであってもです。……大体、あなた方姉弟は、少しスキンシップが激しすぎる」
彼の言葉に、一瞬目を見張る。
もしかして、それって……ヤキモチ?
「分かりましたか?……理咲、何故笑ってるんです?」
王子様はムッとした顔をしても甘いまま。けれど、そんな顔すら愛しくて、私はこぼれてくる笑みを隠すために彼の胸に顔を埋める。
「理咲……聞いてますか?」
頭の上から落ちてくる愛しい人の声を聴きながら、私は急に襲ってきた眠気に、幸せな気持ちのまま目を閉じた。