御曹司は身代わり秘書を溺愛しています

何百枚にも及ぶ資料を、父は感嘆の表情で見つめている。


「君の名前には憶えがある。確か一年ほど前、性質の悪い米国企業にうちの株を不当に買われそうになっていた時、注意を促すメールを会社宛に送ってくれたね」


「ご存知でしたか」


「会社宛にきたものには、基本的にすべて目を通している。……今回の研究に関する業務提携に関しては、不徳ながら康弘君に任せてしまっていたが……。もう一社、わが社との提携を申し出てくれていた外資系製薬会社があったことは聞いていた。君はその件に関わっていたんだね」


穏やかな表情で怜人さまを見つめる父が、ふと視線を私に向ける。


「それで、君と理咲とは、一体どういう関係なんだ?」


「それは……」


急に話の矛先を向けられて慌てる私とは裏腹に、怜人さまは凛とした表情で両親と祖母に視線を馳せた。


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