御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


「だから、あとはどうやってあなたを迎えにいくか、だったんですよ。ヘリで伊豆に駆けつけるとか、部屋中を薔薇で埋め尽くすとか……。あなたを待たせた分、どんなサプライズで驚かせようかと思っていたのに……。それはそうと、彼とは本当に何の関係もないんでしょうね」

百貨店の藤田さんに肩を抱かれていたことを、未だに許せないらしい怜人は、さっきの場面を思い出したのか、少しムッとした表情で私を覗き込む。

怜人にヤキモチを焼かれてしまうなんて、なんだかくすぐったい気分だ。


「あれは……。怜人とレイチェルをまじまじと見てしまって、失礼なんじゃないかって、藤田さんが気を使って……。私は別の意味でショックだったんですけど」


ずっと会いたいのを我慢していた最愛の人が、他の女性の腰を抱いているのを見て、とても悲しくなってしまったのは本当のことだ。


「私は怜人に全然会えないし触れないのに、ほかの女性に触れるなんて酷いって、そう思ってしまったんです」


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