御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
少し甘えるようにつぶやくと、怜人は、「挨拶だと言っているのに……まったく、あなたには本当にあきれる」と口では咎めながら、甘い瞳で私の腰を引き寄せ体をぎゅっと密着させる。
「そんなに僕に触れたいのなら、一晩中こうしていてあげます。……その代り、責任は取ってもらいますよ?」
「え!?でも、夕食もまだだし、どこかへ食べに……」
「ルームサービスでいいでしょう?せっかく運命のように偶然あなたに会えたんだし……。散々おあずけだったんですよ?このままふたりきりで、朝まで過ごしましょう」
あたふたと慌てる私の鼻先に、笑いながら怜人がちゅ、とキスを落とす。
「怜人……っ」
「真っ赤ですよ。もっとすごいことをしているのに、今さら……」
そう言われてますます真っ赤になってしまった私の前髪を愛おしそうに掻き上げると、間近でじっと見つめられる。
「この一年、どこにいてもあなたの顔が見たくて、寂しくて……。本当に辛かった。だけどこれからは、ずっと一緒にいましょう。もう、うんざりするくらいにね」
「え、でも怜人は、またあちらに帰るのでしょう?だったら、また会えないんじゃ……」
という私に、怜人はわざとらしく眉根を寄せる。