御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


まるで中世のおとぎ話に出てきそうなベッドには、小さなシルクのクッションがいくつも重ねられている。


「すごい……。とっても素敵なお部屋ですね」


「あなたを連れて帰ってくると言ったから、皆で張り切ってインテリアを新しくしてくれたみたいですね……。元々僕がひとりで使っていた時は、もっとシンプルな何もない部屋でしたから」


「え……」


「フィアンセと一緒に帰ると言ったから、ここはゆくゆくは夫婦の寝室になる予定です。……もちろん、今回の滞在もこの部屋で一緒に過ごすつもりですけど。ようやくあなたと一緒にゆっくり過ごせるんですからね。昨日だって……あなたは寝てしまうし」


そう言いながら怜人は手荷物を簡単に片づけてしまい、赤面しながらぼうっと突っ立ったままの私に近寄ると、鼻先にちゅ、とキスを落とした。


「れっ、怜人……」


昨夜はあれから、たくさんの買い物とここへ来る準備で大忙しだった。

連日の疲れもあってソファでうたた寝してしまい、いつの間にかベッドに運ばれ気づいた時には朝だったのだから、怜人とゆっくりなんて過ごせるはずもなくて……。


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