御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
怜人さまのすきなもの
身代わり秘書になって、早くも二週間が過ぎた。

少しずつ仕事も教えてもらい、今は六車さんの指示で怜人さまのスケジュール管理のお手伝いをさせてもらえるようになった。

実際商談に同行するのは六車さんの仕事だが、移動のタイムスケジュールや取引相手とのスケジュールの調整など、こまごまとした雑用をこなしている。

『Teddy 's Company』はフレックスタイム制を採用しているので、出勤時間は人それぞれだ。

必ず勤務しなくてはならない午前十時から午後三時を除く午前七時から午後七時までの間なら、いつ出社していつ退社しても構わないことになっている。

もちろん、一か月に勤務しなくてはならない総労働時時間は決まっているけれど、それさえクリアすれば基本的に自分のペースで時間をやりくりすることが可能だ。

けれど、秘書室に関しては例外だった。毎日、六車さんはじめ秘書室の面々は、CEOである怜人さまのスケジュールに合わせて行動することになっている。

そして当の怜人さまはというと、意外なことだけどかなり時間に無頓着な人だということが、だんだん分かってきた。

無頓着というと時間遅れる、といった悪い方向に考えがちだけれど、彼の場合は逆だった。つまり……。
< 60 / 242 >

この作品をシェア

pagetop