恋なんてするわけがないっ‼
「大地!あんたまた頼んどいたのやってないでしょ!?」
今日もあいつの声が企画部に響く。
だけどその声を気に掛けるのは俺くらいで、他の人達はとうに慣れて聞こえてはいるが日常の一部……まぁ聞こえてないも同然だろう。
俺もその日常には勿論慣れている。
それなのに俺だけが気に掛けるのは、彼女が俺に対して文句を言っているからだ。
彼女はデスクを回ってこちらに向かってくるが、俺はまだパソコンの画面を見たまま入力をする。
正直目の前のデスクから非難の声が掛けられているのだから、気付かないわけはない。それでも気付かないふりをするのは、そんな俺に対して頬を膨らます彼女の顔が見たいからだ。