恋なんてするわけがないっ‼









12年前、俺は新卒で22歳の時に前の会社に採用された。



そこは企業向けの商品を取り扱う会社で、様々な企業と提携して、商品を仕入れ、申し入れのあった企業に最適な商品を提案するということをしていた。


たくさんの同種企業の商品を取り扱うから、それらの商品をよく知っている必要があったし、申し入れのあった会社のことも最適な商品を提案するには知っていなければいけなかった。



例えば、プリンターが必要だという企業から申し入れがあったとして。うちが取り扱っているプリンターは4社あってさらにそこからそれぞれの会社が出しているプリンターが各10数種類ずつある。



まず、その企業の財政状況を確認して、明らかに価格帯が希望や財政状況と合わないものは排除する。ここで俺が気をつけていたのは、プリンターによって作業効率が下がっていないかということだった。


そんな小さいことが、と思うかもしれないけどプリンターは大部分の業務に関わっている。


いくら電子化が進んでいるとはいえ、紙に多くを頼る企業は少なくない。


プリンターの印刷スピードが遅いためにその後の会議が遅く設定されていれば、そこからの行動も遅れて最終的には結果が出るのも遅れるわけだ。



もしその企業に現在のプリンターによる不利益があるのなら、若干価格帯が高くとも長い目で見ればそちらのほうが結果業務が円滑に進み、利益を得ることができると判断したら希望や財政状況から見てやや高めのものでも提案した。



そんな感じで俺は多くの企業から信頼を得た。



うちの会社を頼ってくれる企業が増えて、社内での俺の評価もよかった。






< 119 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop