恋なんてするわけがないっ‼
決して父が彼女に冷めた態度をとっていたわけではなかった。
むしろ父は彼女を心から信頼し、彼女を愛していた。
夫婦仲は悪くなかった、僕はそう感じていた。
だけど、彼女は満足しなかった。
父の愛が彼女を女として愛しているというよりも家族として愛していることに満足しなかった。
長く連れ添ううちに、そういった愛に変わることは僕は自然だと思うけど、彼女にとっては耐えられないことだったのだろう。
母はいつからか父ではない男の人を家に連れてくるようになった。