恋なんてするわけがないっ‼
ある時僕はそのことを変に思って母に聞いた。
すると彼女はこう答えた。
「彼はお友達。お友達を家にあげることは変なことかしら?」
言い訳を言っているとか開き直っているとかそういう感じではなかった。
本当にそれがおかしなことではないと思っていて、それを聞く僕が不思議でならないといった表情だった。
実際彼女が家に招かれる男の人と一線を超えていたかなんて僕は知るわけもなかったけど、少なくとも僕の知るところではそういったことは見受けられなかった。
父は気付かなかった。
彼女が男の人を家に招き入れるのは決まって父のいない時だった。
そのことも僕に不信感を抱かせる要因となっていたけれど、前にそれを聞いた時の彼女の表情が引っかかって、どうもできなかった。