恋なんてするわけがないっ‼
「そんなわけで、これから企画部の幹部は俺、橘、瀬野、藤沢、紀田の5人になる。
まだ午後たっぷりと残っているから、さっき説明した企画について始めてくれ。」
はい、始めっ、と言って会議室を出ようとした櫻井さんに疑問の声が上がる。
「櫻井さん、部長のこと藤沢って呼び捨てにするんですか?確かに櫻井さんのほうが1年先輩ですけど。」
橘さんが言うように私も少し不思議に思っていた。だが藤沢は会議中それについて触れなかったし、別段不快そうでもなかったから公認なのかなと考えたのである。
「いや、先輩後輩関係なく、仲良くなりたいから。役職名じゃ距離かんじるだろ?」
「ええ、そうしてください。俺も役職名より、平等に名前で呼ばれたいですし。そういう堅苦しいの抜きでお願いします。」
櫻井さんの言葉に間を置かずに返答した藤沢は、橘さんににこりと微笑んだ。