恋なんてするわけがないっ‼
ダンッダンッ
「紅?嘘だよね?どうしたの?最近俺が会いに行かないから嫌になったの?安心してよ、また毎日会いに行くから。…紅?」
夜中の2時。
なぜ、こんなにも恐ろしいのだろうか。
私がおかしいのだろうか……彼が怖い。
休みなく叩かれるドアと語りかけてくる、かつて可愛かった彼氏。
両隣の部屋にも人は暮らしているが、その人たちもこの異常な男を怖がってか夜中の騒音に文句を言わない。
どうにかして助けてほしかった私は、同期でよく一緒にお酒を飲みに行く藤沢に電話を掛けて助けを求めた。
警察に電話をすればいいのに、藤沢に助けを求めたのは何でかわからない。
日頃から何かあったら呼べと言ってくれていたからかもしれない。