恋なんてするわけがないっ‼
年齢と思い込み
「おはようございます」
特定の誰に、というのはなくオフィスにいる人たちに挨拶をする。
多くの人は忙しくてもこちらの顔を見て挨拶を返してくれる。
「紀田は今日も凛としてるねー」
ポンと後ろから肩に手を置き、そう声を掛けるのは櫻井さんだ。
「ありがとう、ございます…?」
なんと返していいのか分からず、疑問符を付けてお礼を言えば、褒めているんだよ、と頭を撫でられる。
やっぱりこの人は「お父さん」だ。
面倒見が良いというか包容力がある。
「櫻井さん。私、席に戻りますので。」
私の頭を撫でている手をそっと掴んではずす。
櫻井さんは適当な返事をすると、他の人と
話し始めた。