恋なんてするわけがないっ‼
「櫻井さん」
唐突な人名に一瞬で理解できずに、うん?と何とも間抜けな声が出た。
「櫻井さんが買ってきて置いてくれたらしいな。」
その後は待っても言葉が出てこなかったから、自分の席に戻った。
そうか、櫻井さんか。
確かに面倒見の良い櫻井さんなら頷ける。
あとで時間が空いてそうだったら、
お礼を言おう。
櫻井さんは先程の人とまだ話している。
幹部が変わったばかりでやる事が多いのだ。
櫻井さんだけでなく私も忙しいのは同じだ。私はデスクに積み重ねられた書類を上から片付けていった。