恋なんてするわけがないっ‼
「サンドイッチとお茶、ありがとうございました。櫻井さんが置いてくれたそうですね。」
軽くお辞儀をすると、頭上でクスッと聞こえた。
「うん、そうだね。確かに俺が置いたよ。」
言ったあともまだクスクスと笑っている。
何が面白いのか長い間笑い続ける櫻井さんに、流石に奇妙に思って理由を聞く。
「何がそんなにおかしいんでしょうか。」
櫻井さんはまだ笑いながら答えてくれた。
櫻井さんは藤沢に頼まれて、それらを買ってきて置いたという。
お昼にシフォンケーキを盗み食ったあと、
出張先に呼ばれてまた戻らないといけなくなったそうだ。
それで私が残るだろうと思って櫻井さんに頼んだのだと。
「気味が悪いくらいに紀田のことわかってるんだな、藤沢は。未来予知でもしてんのかね。」
本当に不思議なくらい、私のすることを理解してる。いつもそうだ。
それに、嫌じゃない。
藤沢は絶妙なタイミングでアクションを起こすから。