恋なんてするわけがないっ‼





「予約していた櫻井です。」





櫻井さんじゃないけどね、と小雪ちゃんと瀬野君は笑っている。




念のため席を予約していたらしい櫻井さんは、準備がいい。









「とりあえずビール3つ、お願いします。」




個室に通されるとすぐに瀬野君はビールを注文し、座布団に腰を下ろした。





その隣に小雪ちゃんが座り、私は奥に詰める形で瀬野君の前に座った。





最初はまだ二人が来ていないのに注文するのは申し訳ないと言ってビールをちびちび飲んでいた二人だが、15分もするとアルコールが回って気分がよくなったのか、メニューを見て結構な量の料理を頼み始めた。





「だからね、大地?あの時はそれじゃ駄目なんだって!ねえ?」





凄まじいペースでお酒を飲んだ小雪ちゃんは既に出来上がっていた。





酔っ払った小雪ちゃんに何やら説教をされている瀬野君は、終始相槌を打って笑っていた。




私が聞いているとあれやそれでほぼ意味の分からない話を小雪ちゃんは繰り出しているのだが、どうやら瀬野君は小雪ちゃんの言わんとしていることを理解して相槌を打っているようだった。






ちょうど二人の頼んだ大量の料理が運ばれてくるのと同時に櫻井さんと藤沢が座敷に入ってきた。






< 70 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop