恋なんてするわけがないっ‼
絡んだ糸
しばらくの間料理をつまんでいると、なぁ、と声が掛かった。
声がした方を見れば、藤沢がこちらをじっと見つめていた。
「お前、あれからどうなの?」
……は?あれから?
あれからって何のことだろうか?
口からは出ないが、顔から十分にその思いが伝わったらしい。
藤沢は溜息をつくと、少し言いづらそうにぶっきらぼうに喋る。
「……あいつ。お前のストーカーだよ。」
髪をクシャっと乱して、頭を垂れたせいで上目遣いでこちらを見る。
藤沢の上目遣いとか反則じゃなかろうか。
色気がだだ漏れになっている。
「浩人のこと?彼ならもう会ってない。」
あまりにじっと見つめられるものだから、その色気のある瞳に囚われそうになって、慌てて顔を逸した……のだが、そのせいで藤沢に疑いの目で見られる。
「嘘じゃないだろうな。油断してると刺される可能性もないわけじゃない、適当に考えるなよ。」
鋭い眼差しにあてられて、どんな発言をしても怒られそうな気がして、うん、と一言だけ口にした。