恋なんてするわけがないっ‼




「部屋についたら襲うわけでもないし、別に変なことはしない。部屋が緊張するなら何処かに出掛けるか?」






顔の表情はいつもと何ら変わりはないが、
声はとても柔らかい響きを持っている。





「出掛けなくていいわよ。だって藤沢は部屋に来たいんでしょう?大丈夫よ。」





言葉遣いが少し会社にいるみたいになってしまったが、余裕のある女性ってこういうことじゃないかと思う。






エレベーターを降りて右端の部屋の鍵を開ける。





どうぞ、と言って部屋にあげる。
藤沢は靴を丁寧に脱ぎ、揃える。
自然な動作で8畳の居間に向かい、着替え終わるまでくつろぐよう伝えてから隣の寝室に入る。





「…………はぁ。」





呼吸をするように滑らかに出てくるため息に自分がどれほど気を詰めているのかがわかる。






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