恋なんてするわけがないっ‼
「あっ、お財布忘れた!………というか何も持ってない………………」
チケットを買おうとしてから気付くなんて。
部屋を出た時にどうして気付けなかったんだろう。
いや、藤沢があんなに突然行動するからだけど。
「チケットぐらい気にすんなよ。」
………お昼とか他にもお金かかるかもしれないじゃない。
「昼飯とかそういう事考えてるんだろうけど、それも気にすんな。まぁ紀田に気にするなって言っても無駄だろうけど……それに」
もちろん無理です、気になります。
あぁ、ど○でもドア欲し…
「ようやく彼氏になれたんだ、少しはそういうことさせろ。」
くだらないことを考えていた私に、心を射抜く矢が刺さった。
刺さるというより、鈍器で殴られたのほうが近いかも。
いや、高いところから落ちた、のほうが近いかな。
つまりそれほどの衝撃があった。
とにかく息が吸えなくて、吐くこともできなかった。