恋なんてするわけがないっ‼




「ほら、行くぞ」




もう買い終えてしまったらしい藤沢はさり気なく私の手を握って歩き始める。





彼氏発言と手を繋がれていることに動揺しつつも、ようやく息を吸って藤沢の隣で歩く。





「ふ、藤沢……。その、もうちょっとゆっくり見よう?」





サンショウウオの匂いを嗅いでみよう、って凄い気になる。






「悪い、少し戻ろうか………」





藤沢に誘導されUターンするときに見えた。
少し照れたような罰の悪いような顔。
藤沢も少しは緊張してくれているのかもしれない。





少し嬉しくなって、自然と頬が緩む。






「笑うなよ」






藤沢はそう言って私の手を握り直す。




その感触に私の気持ちは一日浮かされることになった。





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