君を待ってるから

「えー、いや...ちょっと考えるって言った、よ?」

美紗は、目をパッと見開いて言った。

「え~!そこはオーケーしなよ!」

由季ちゃんは熱くなりながら、美紗に賛成した。

「そうだよ!だって成瀬くんだしさっ!」

教室でみんないるのに、二人は大きい声でお構い無しだ。

「それに亜里ちゃん前、成瀬くんのこと好きだった、でしょ?」

騒がしかった美紗も、そのときだけはできるだけ小さめの声だった。

「でも...それは前のことだし、ちょっと考える。」

そのとき亜里ちゃんは一瞬、視線をずらした気がした。

でも、ふざけて騒いでいる男子しか視界にいなかったかな、なんて思うと気のせいだと思った。

「はい、六時間目始めるぞ。席つけー。」

先生の合図で、切りがよくその話は終わりになった。
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