君を待ってるから

「シホ、行くよー。」

私は、小学六年生の杉並シホ[すぎなみしほ]。
友だちと楽しい時間を過ごしてる。
平凡な良くも悪くもない日常が過ごせるっていうのも、小さな幸せだと思う。
今過ごしてるような楽しい日々がいつまでもかわらず続くといいな。

「うんっ!」

「ほら早く~!」

私を呼んでるのは、アユミちゃん。
転入した学校で馴染めずにいると、気さくに話しかけてきてくれたのが、アユミちゃんだった。
何しろ、前の学校でいじめられていたから、友だちという感覚を忘れかけていたんだ。
そんな私にも仲良くしてくれて、私は暗さがなくなっていった。

「やばい、遅れちゃう!走ろっ!」

今日は一時間目から移動教室で、理科だった。
みんな教室から出ていて、移動教室は分かりきっていたことなのに。
私がのんびりしていたせいで、遅刻寸前。

「だ、だめだよ。走っちゃ...。」

けど、廊下は走れない。
そもそも校舎内で走るの禁止だし、走ったら注意されてもっと遅くなる。

「そう言ったって遅刻しちゃうし...まずシホ、ほぼ走ってるんだけど!」

こんな中でもツッコミ入れて笑えるっていうのは、何か...いいよね。
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