君を待ってるから
家族でここに引っ越してきた日も、今日みたいな冷たい風が吹く、秋のひんやりした季節だった。
ここに引っ越してきたのは、私の友だち関係が原因。
一人ぼっちだった私に声をかけてきてくれた。
それは、秋華ちゃんとアイちゃんとマヒロちゃん。
うれしくて、舞い上がってたのかも。
マヒロちゃんがイトくんを好きになって、私は必死に応援してた。
友だちっていうものを持っていなくて、だから友だちの恋を応援したことがなくて、そんな私にも友だちができて、恋も応援することができた。
マヒロちゃんを本気で応援してた。
なのに、なぜか私がイトくんを好きだと勘違いされて。
一番に私を考えてくれた秋華ちゃんまでに、無視され始めた。
秋華ちゃんが勇気を出して謝ってくれたのは、秋華ちゃんが私のことを大切にしてくれてるんだなって実感できた。
でもそんな勇気は、すぐにアイちゃんとマヒロちゃんに壊されて。
ーー私はいじめられた。
私は笑顔がなくなって、毎日がつらかった。
だけど、イトくんが秋華ちゃんを好きっていうウワサが広まり、いじめの標的は私から秋華ちゃんに代わった。
私は助けたかったけど、勇気がないのと秋華ちゃんの裏切りで、いじめを止めることができなかった。
そんな中、同じクラスの葵衣ちゃんが秋華ちゃんへのいじめを気にしていることに、気づいていた。
力になることはできなかった、私には。
それから私は引っ越して、あとのことはわからない。
今でも後悔している。
秋華ちゃんを助けてあげられなかったこと。