君を待ってるから

“好き”の気持ちに気付いたら、もう止められない。

本当だね。

「あはははっ。」

そうやって、拓が他の女の子と笑ってる。

それだけでなんていうか、心がモヤモヤする。

多分この感情は、元井くんが亜里ちゃんに抱いていた“ヤキモチ”っていう感情と同じなんだね。

でも、そんな感情、ヤキモチ焼いた相手と笑ってると、吹き飛んでしまう。

簡単に忘れられる。

それだけ、一緒にいて、一緒に笑って、楽しい。

「亜里ちゃん、成瀬くんが呼んでるよー。」

教室の戸に目を向けると、亜里ちゃんのことを真っ直ぐに見つめている成瀬くんが立っていた。

「あ、うん。」

亜里ちゃんは気まずそうに、席を立った。

それを見つめている元井くんの目は、寂しげだった。

成瀬くんの後ろ姿を亜里ちゃんが追いかけていった。