君を待ってるから

* * *

「亜里ちゃん、成瀬くんが呼んでるよー。」

クラスの子の声が私の耳に飛び込んでくる。

教室の戸の方を見ると...成瀬くんが立っていた。

「あ、うん。」

なんとなく、もとの視線を感じながら、そっと席を立った。

最近、もとの様子がおかしいんだ。

いつもは笑ってふざけてばっかで、世話の焼ける男子。

だけど最近は、寂しそうな表情をして、ため息ばかり。

友だちと一緒にいても、無理に作り笑いをしてるように、私は見える。

...らしくない。私には分かる。

なんか、もと、らしくない。

足早に歩いていく成瀬くんの足元を見つめながら、追いかけるように私は成瀬くんに着いて行った。

しばらく歩いても、成瀬くんは止まりそうにない。

私はなんだか不安になって、心細くなりながらも歩いた。