君を待ってるから
「ねえ、お母さん、私を運んだのって誰?」
私は、予感がしていた。
私をおんぶしてくれた"誰か"が誰なのかということを。
だけど。
「お母さんよ。」
予感は外れた。
じゃあ...。
じゃあいったい、顔が赤かったのは。
ときどき咳をしたのは。
苦しそうだったのはいったい、なんだったの...?
ーー仕事が終わるのが早くて、家に帰ったら散歩していた。
それで海華がいて、おんぶをして家に帰った。ーー
そう、お母さんは話していた。
でも私には、信じられなかった。
私は、家を飛び出した。