君を待ってるから

「ねえ、お母さん、私を運んだのって誰?」

私は、予感がしていた。

私をおんぶしてくれた"誰か"が誰なのかということを。

だけど。

「お母さんよ。」

予感は外れた。

じゃあ...。

じゃあいったい、顔が赤かったのは。

ときどき咳をしたのは。

苦しそうだったのはいったい、なんだったの...?

ーー仕事が終わるのが早くて、家に帰ったら散歩していた。
それで海華がいて、おんぶをして家に帰った。ーー

そう、お母さんは話していた。

でも私には、信じられなかった。

私は、家を飛び出した。
< 14 / 138 >

この作品をシェア

pagetop