君を待ってるから
とうとう、引っ越しの日になってしまった。
凪の家は、荷物がきれいさっぱりなくなってしまっていて。
引っ越しのトラックもあって、引っ越し屋さんもうるさいほどに動いてる。
「ヴン...。」
今になって、もっと悲しくなってきた。
こらえる涙もたまるばかり。
「...海華。」
凪が、曇った表情で私の名前を呼んだ。
私は無理やり笑顔を作った。
「凪、どーしたのっ?」
だけど無理。
我慢できない。
「ヴヴン...。」
涙は溢れて、止まらない。
「なぁ、海華...。」
凪が言いかけたところで、
ブゥゥン。
引っ越しのトラックが動き出した。
それとともに、
「凪ー、車に乗りなさい。」
と、凪のお母さんの声が聞こえてくる。
「海華ちゃん、ありがとね。」
凪のお母さんは、私にささやくように言った。
「...はい。」
涙で震えながらも、返事をした。