君を待ってるから

「...凪。」

もう、こうやって凪の名前がいつ呼べるのかわからないんだ。

凪に私の声が届くことは、ないかもしれないんだ。

「私だったら、追いかけるよ。そして、帰ってくるのをずっと待ってるよ!」

精一杯、答えた。

しっかり返事ができたよ。

凪の目からは、こらえていた涙が出てきた。

「...ありがとな。待ってろよ、"海華"。」

きれいな美しい涙を流しながら。

いつもの意地悪な笑顔で、私の名前を呼んでくれた。

うん、うん...。

何回もうなずいた。

「約束だよ。」

「あぁ、約束な。」

凪は、車に乗りこんだ。

車が動き出した。

< 21 / 138 >

この作品をシェア

pagetop